富山県で働いている、あるいはいつかは働きたい方に向けて、最前線で活躍するリーダーや注目企業を紹介し、富山での新しい働き方を提案する『富山人材新聞』。
今回は「県民目線」「スピード重視」「現場主義」の県政運営で一躍有名になった富山県知事・新田 八朗さんを取材しました!
富山市に生まれ、日本海ガス、日本海ガス絆ホールディングスの代表取締役社長を務めたのち、富山県知事に就任した新田さん。 県知事になったきっかけや、元経営者ならではのユニークな取り組みについてお話を伺いました。
昭和33年8月27日 富山市生まれ 趣味:旅行、映画鑑賞 好きな言葉:『One for all, all for one』 現富山県知事、富山経済同友会特別顧問。(公社)富山青年会議所理事長(平成4年)、公益社団法人日本青年会議所第47代会頭(平成10年)、日本海ガス代表取締役社長、日本海ガス絆ホールディングス代表取締役社長などを歴任。 |
県知事って、ぶっちゃけ何をしているの?
今回は、富山県の魅力はもちろん、新田さんの魅力を深堀りできたらと思います。
早速ですが、新田知事は、知事に就任される前には日本海ガス代表取締役社長、日本海ガス絆ホールディングス代表取締役社長として、まさに経営者としてバリバリ働かれていました。経営者から県知事にキャリアチェンジして、どんな変化がありましたか?
いやもう、めちゃくちゃ忙しくなりました!(笑)選挙のときももちろん大変でしたが、当選すると公人になるので、文字どおり24時間365日を捧げている感覚です。
ミーティングが朝から晩まであったり、会議や式典などの公的な行事に出席したり。省庁を訪問し、政府に要望したりすることも県知事ならではの仕事。富山県内にずっといるように思われがちですが、実はいろんな場所に出向いているんです。
24時間365日ずっと仕事ですか…(絶句)民間人と公人では、仕事内容にもギャップがありましたか?
「税金で賄われている」のを改めて感じたことで、日々の時間の使い方をかなり意識するようになりました。
経営者のときは、決められた予算内でやっていけば良いけど、県では予算を議会に諮って、緻密に作っていかないといけない。あるいは、年度当初に予定されていなかった予算を支出する時には、補正予算も組まなければいけない。
今は令和3年度の予算を執行しながら、令和4年度の予算を作り始めている段階ですが、新型コロナ対応などで、私が就任してからすでに18回も補正予算を組んでいます。短い期間にこんなに補正予算を組むのは、県政ではおそらく初めてだと思います。
そんなに補正されるんですか!?
場合によっては、国にも予算を措置してもらい、それを受け止めるために補正予算を組むこともあります。議会を開催する時間がないような急を要する場合は、知事は専決処分、つまり議会の議決を経ずに長が決定することもできるけれども、そもそも議会を開催できるかどうかも決めていくのも私の仕事。
非常に幅広い業務を扱っていると感じていますね。
県全体のことを決める…となると、安易に決断できないぶん、実行スピードが遅くなるようなイメージがあるのですが、実際はどうですか?
確かに、多くの人がそう思うのではないでしょうか。でも世間一般の「お役所仕事」のイメージと現実は違いました。私も正直最初はそう思っていたので、就任式で「県民目線」「スピード重視」「現場主義」といったことの大切さを伝えていました。
でも、今となっては、このメンバーとなら本当に何でもできるんじゃないかと感じています。
選挙の際は、3人で朝から晩まで辻立ち・演説を行いながら政策を作っていたので、3,800人もの優秀な仲間がいてくれるのは本当に幸せなことだと思います。中小企業の経営者だったところから比較しても、今は3,800人の社員がいるようなものですから、かなり心強いです。
噂では、県庁内では「新田知事」ではなく、「新田さん」と呼ばれているのだとか…
そうです。肩書で仕事をするのはやめましょう、というメッセージを込めて、まずは呼び名をフラットにしています。最近、ようやく定着してきましたね。小さいことですが、新人職員も知事も、風通しの良さは大切だと思っています。
富山「で」働く、から富山「を」作るへ
お話を伺っていると、多忙ながらも充実された日々を送られているのを感じます。 ところで、新田知事はそもそもなぜ経営者から富山県知事になろうと思ったんですか?
まずは、青年会議所での経験が大きいです。
大学を出て社会人になってからはボランティア活動(青年会議所)にコミットしていて、40歳になるころには、全国組織のトップになりました。そこでの経験は、自分の人生に大きく影響を与えていると思います。
そして、一番大きなターニングポイントは、孫ができたことです。
お孫さんの誕生ですか?
そう。やっぱり親のときは育てるのに精一杯だったけれど、孫になると、一歩引いてみることができるもので。客観的に孫を見ていると、「この子たちの将来はどうなるんだろう」「どんな富山・日本であればよいのだろう」という思いが止まらなくなり…
それが、「富山県はどうなっていけば良いのか?」「自分はそれに対して何ができるのか?」という問いに変わっていきましたね。この歳までそれなりにトレーニングを積んできましたが、自分自身の人生を考え、孫の顔を見たことで、成り行きで富山県で過ごすのではなく、自分で富山県を作る当事者になりたいと思ったのがきっかけでした。
実際にお孫さんが生まれても、「孫のために当事者になろう」という発想を抱く人は少ないように思えますが…
そのときに思い出したのが、やっぱり社会人になってからの青年会議所などでの経験だったんです。政治家になる人も多かったので、触発されたのもあるかもしれません。
富山の「働く」、どう変える? 『富山県成長戦略会議』から生まれるもの
新田知事は、知事に就任してからさまざまなユニークな取り組みをされていますよね。たとえば、新しい富山県のさらなる発展に向けたビジョンや戦略を策定するために、富山県にゆかりのある各分野の専門家、新進気鋭の方々を招いた『富山県成長戦略会議』は、特に印象的でした。
ありがとうございます。いろんな方を呼びたくて、人選が大変でした(笑)。このメンバーで立ち上げることができたのは本当に良かったです。
今や「働き方改革」いう言葉は一般的になりましたが、富山ではまだまだやることがあります。たとえば、デジタルをもっと活用して属人化をなくして、誰かが欠けてもチームで仕事を進められるような働き方にしたり、男性も普通に育休を取るようにしていきたいと強く思っています。
たしかに、富山ではまだまだデジタルの普及が遅れている側面もありますね。
個人的には戦略会議のなかで打ち出された、県民の幸福度アップを目指し、関係人口を1000万人にするという、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」というビジョンにはとても驚きました。これはどういう経緯だったのですか?」
成長戦略会議で出てきたのは「幸せ人口」という言葉でした。富山には、豊かな自然や水、おいしい食、安全な土地という「幸せの基盤」が揃っている。
だからこそ、日常のなかにある幸せをシェアしていくことで、富山県で暮らす人、仕事をする人、よく訪れる人、生まれ育った人など、愛着を持って富山県に関わるすべての人を巻き込んで、幸せな関係人口を増やしていくことができるのでは、と考えました。
富山の魅力はズバリ、◯◯な人がいるところ
最後に…ズバリ、富山の魅力って何ですか?
面白い人がたくさん関わっているところですね。ずっと富山に住んでいる人だけではなく、大人になって富山県から出ていかれた人も成長戦略会議に来てくれているのもありがたいと思っています。
たとえば、富山県出身のヤフー株式会社 CSOの安宅和人さんやレオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長の藤野英人さん、株式会社出前館エグゼクティブアドバイザーの中村利江さんや、現在富山で活躍されている前田薬品工業株式会社代表取締役社長の前田大介さんなどが関わってくださっています。
この「富山人材新聞」の記事を読んでいる方もそうかもしれませんが、富山出身の人たちも、若いころは「閉鎖的な土地から出たい!」と外に出ることはあると思います。でも、誰しもが故郷を嫌いになることはできない、というのも同時に感じています。県内外からエールをもらえていて、とても嬉しいです。
(これはもしや富山県知事公認のメディアとお墨付きを頂いた…!?)改めて、本日は貴重なお話、ありがとうございました!
あと…もうひとつお願いがあるのですが…
最後に…
ちなみに…せっかくなので、富山人材新聞のパーカーを着て…もらえませんか…?
あ、いいですよ!(あっさり)
えっ!ほんとですか!(神対応キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!)
それでは、お願いします!(緊張)
本当にありがとうございました!
新田知事のこと、富山のこと、もっと知りたい!
取材中、終始優しい笑顔でお話をしてくださった新田知事。
パーカーを着てくださったり、さまざまなポーズをしてくださるなど、終始サービス精神旺盛で、取材陣はますますファンになってしまいました。魅力溢れるお人柄だけではなく、今後の取り組みも楽しみな新田知事や富山県のことをもっと知りたい方は下記のSNSもしくはウェブサイトをぜひご覧ください。
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▼富山県庁で働いてみたい方はこちら
県庁採用サイト:https://www.pref.toyama.jp/sections/0300/saiyo.html
取材=石原 たいぞー(富山人材新聞編集長)(@taizojp)
文章=高尾 有沙(@arisa_takao)
編集=いしかわ ゆき(@milkprincess17)
撮影=山下 貴久(Facebook)