起業家に聞く!

富山を、地方で1番優秀な人材が集まる土地へ。東京生まれの起業家が“富山の人事部”を作る理由

起業家に聞く!

富山県で働いている、あるいはいつかは働きたい方に向けて、最前線で活躍するリーダーや注目企業を紹介し、富山での新しい働き方を提案する『富山人材新聞』。

今回は東京で生まれ育ちながら、富山・東京の2拠点で事業展開を行う、当メディアの編集長・Interas社代表取締役の石原泰三氏にお話を聞きました!

富山に住んでいる、働いている方はもちろんのこと、今後富山で働く、住む、仕事をする、起業するなどに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

石原 泰三(株式会社Interas 代表取締役)
新卒でリクルートに入社。営業・マネジメント・マーケティング・事業開発を経験。その後、食べログや価格.comなどのWEBメディアを運営する㈱カカクコムに人事として転職。2020年4月に個人事業主として、独立。2021年5月に㈱Interas設立。人事コンサルティング、コーチングを活用した人材紹介を主軸の事業としている。
ありぱん
ありぱん

なんだか変な感じですね(笑)。

たいぞー
たいぞー

受ける側は初めてなので…吹き出しもいつもは左側(インタビュワー)なので変な感じです(笑)。

ありぱん
ありぱん

今日は『富山人材新聞』の立ち上げから富山での事業の未来について、いろいろとお伺いしていければと思います!

たいぞー
たいぞー

はい、緊張しますが、よろしくお願いします。

自分がメディアに載って本当にいいのだろうかと不安そうな石原氏

東京で生まれ育ったシティーボーイ、富山に行く

ありぱん
ありぱん

いまは富山と東京を中心にして事業を展開されている石原さんですが、富山県にはもともとゆかりがあったんですか?

たいぞー
たいぞー

実は僕は生まれも育ちも東京なんです。ただ、親の都合で4、5回引っ越しをしているので、「ここは僕の故郷だ」と思えるところはなくて。産まれたマンションは取り壊されて更地になっているし、親も社会人になった瞬間に離婚したので、年末年始に帰るところがないんですよね…。

ありぱん
ありぱん

初手から重たい話で恐縮です。ではなぜ富山に?

たいぞー
たいぞー

いや、全然重たい話ではないです(笑)。大学を卒業後、リクルートに入社し、求人媒体の営業をしていました。最初は東京にいたのですが、途中で富山に異動することになりまして。

ありぱん
ありぱん

では、富山はゆかりがあったわけではないんですね。

たいぞー
たいぞー

そうなんです。26歳で東京を発つときに、送別会で行ったお店の店員さんに「富山って、何ですか?」とキョトンとされたので、「僕はとんでもないところに行くんだ」と震えました(笑)。

県です

初めての富山ライフで得た「人のために働く」という目線

ありぱん
ありぱん

実際に転勤してからの生活はどうでしたか?

たいぞー
たいぞー

友達ゼロからのスタートだったこともあり、少しでも人との関わりが欲しくて姫野さんが運営するシェアハウスに住んでいたので寂しさはなかったですね。富山駅から徒歩10分の立地だったので不便さもありませんでしたし、ちょうどいい街という印象でした。

ありぱん
ありぱん

知らない土地で、寂しさを感じずに暮らせるのはいいことですね。

たいぞー
たいぞー

そうなんです。むしろ、シェアハウスが「第2の故郷」といった、心の拠り所になりました。ごはんもおいしくて本当にびっくりしましたね。

富山に行ってすぐに受注させてもらった吟魚さんがきっかけで、ひとりで行ける「行きつけのお店」が出来ました! 大人にさせてもらえた気がします(笑)。

ありぱん
ありぱん

転勤してきてからのお仕事はどうでしたか?

たいぞー
たいぞー

拠点立ち上げ期だったので、目標も高く、人数も少なくて、割と過酷な環境でしたね(笑)。

ただ、東京にいるときは数字の達成に必死で、お客さんとの距離を詰める余裕がなかったのですが、富山に来たことで「富山のため、富山で一緒に働く人のため」という目線が加わったように思います。

ありぱん
ありぱん

仕事のやり方が変わった、ということですか?

たいぞー
たいぞー

はい。まずは人として仲良くなり、結果としてお仕事をいただく、という経験をしたことが大きな変化でしたね。

その理由は、お客さんのことを「好きだな」と思えるようになったからだと思います。実際、結果としてシェアを10%から35%くらいまで伸ばすことができました。

会社を辞めたあと、お客さんにタイ旅行に連れて行ってもらったのは嬉しかったな…
ありぱん
ありぱん

「人を想ってしたこと」が、自然と数字に繋がっていたんですね。富山に行った後はどのようなキャリアになっていったのでしょうか。

たいぞー
たいぞー

その後はなかなか大変で…。

父が病気になったこともあり、東京に戻って父の介護をする傍ら、新規事業の開発や、新卒採用、中途採用から育成などを行っていました。その後、独立に至ります。

ありぱん
ありぱん

独立のきっかけは何だったんですか?

たいぞー
たいぞー

もともと、自分が旗振り役になって場作りをしたり、人と一緒に企画を実現することが好きだったので、スタートアップに行こうと思っていたんです。

ただ、時を同じくして個人として複数社から「お仕事を依頼したい」と言っていただけて。父も自営業だったこともあり、独立に踏み切りました。

今考えると「ノリと勢い」もありましたね(笑)。

ありぱん
ありぱん

独立してからの生活はいかがでしたか?

たいぞー
たいぞー

正直、社会人になって一番辛かったですね。

まずは人事コンサルとして、とある企業の経営企画室に参画し、労務から採用、人事制度の設計・推進、部門長のみなさまへの研修まで、何でもやっていました。自分自身の甘さを痛感した時期でもありましたね。

自分のやれることを見つけた! 富山における人事領域の課題

ありぱん
ありぱん

その後、富山で起業するわけですが、きっかけはありましたか。

たいぞー
たいぞー

HRに興味があり、転職支援…それも「手触り感のある対人支援」をしたいと思っていたので、貯金を切り崩して法人化しました。

その際、たまたま富山で実施していた「とやまスタートアッププログラム」に参加したのが転機となりました。講師の方に個別相談をしたり、いろいろな参加者の方と話したりするなかで、「富山で起業をする」という選択肢が現実味を帯びてきたんです。

ありぱん
ありぱん

何が決め手になったんですか?

たいぞー
たいぞー

主に理由は3つありますね。

まず1つ目は、「自分の故郷のような場所」で、居心地のよさを感じていたから。

2つ目は、富山で独立することを期待されていたことですね。まわりの人が富山で独立することを選ばないなかで、県庁の人に応援してもらえたのも大きかったです。

ありぱん
ありぱん

確かに、県庁の方に応援していただけるというのはそうないことですよね…

たいぞー
たいぞー

そして3つ目は、富山に関わっている人に喜んでもらえそうだと思ったからです。富山は組織の大きさや複雑さに対して、人事に関わる方の数が少ない印象があります。

たとえば、富山のとある上場企業では、50代の人事課長の方が、ひとりで研修、新卒採用、中途採用、人事制度改定まで担当していたり。

ありぱん
ありぱん

大変!

たいぞー
たいぞー

富山では、人事領域はコストがかかる部門という印象を持たれていて。

結果としてマルチタスクで長時間労働になっていたり、一つひとつの仕事にこだわりきれず、説明会がお通夜状態になってしまったり…という話を聞きます。

ありぱん
ありぱん

やる理由が十分にある状態だったんですね。実際に富山で起業してみてどうですか?

たいぞー
たいぞー

もっとも想定外だったのは、個人情報の観点から外部の業者を入れられない会社が多かったことですね。

東京では、必要な労働力は外注することが一般的になっていますが、富山では、外部の人に力を借りるという文化があまり浸透していないんです。

歯がゆい状態が続きました…
ありぱん
ありぱん

独立のきっかけになった点が、障壁にもなっているわけですね…

たいぞー
たいぞー

ただ、実際にお手伝いさせていただいた会社さんからは「こんな方法があるなんて知らなかった!」など、通常の慣例ではないものに驚きを感じていただけることもあります。

そういうときにやりがいを感じますね。

HRのあらゆる側面からクライアント・求職者を支援。その想いとは

ありぱん
ありぱん

いま、石原さんは富山で具体的にどんなことをやっているんですか?

たいぞー
たいぞー

主に以下の4つの事業を展開しています。

① 戦略人事コンサル

② 活躍伴走型転職エージェント

③ 求人広告代理店事業

④ 地域活性化事業

ありぱん
ありぱん

もう少し具体的に聞きたいのですが、①の「戦略人事コンサル」というのはどんなお仕事なのでしょうか?

たいぞー
たいぞー

新卒採用、中途採用、教育研修、人事制度、組織開発など、多岐にわたる領域についてご支援をしています。2〜3人のチームを組み、1から人事制度を作るのですが、大手コンサルなどと比較すると比較的単価が安いため、お試しで導入していただくことが多いです。

ありぱん
ありぱん

具体的にどんなことをしてもらえるんですか?

たいぞー
たいぞー

これまでのお仕事でいうと、以下のようなものがあります。

・新卒採用領域「高卒採用から大卒採用への切り替え」

・中途採用領域「ダイレクトリクルーティングツールを使った営業マネジメント、データが残っていない選考プロセスの整理」

・教育研修「マネジメント研修、富山県庁主催のセミナー講師」

・人事制度「評価報酬等級制度の改定」

・組織開発「健康経営の認証取得、メンタルヘルスになった人への対応策、サーベイ導入、1on1実施」

ありぱん
ありぱん

本当に色々な領域に携わっているんですね。

たいぞー
たいぞー

これ以外にもさまざまなプロジェクトに関わっています。たとえば、人事制度を創るためには、会社の隅々まで知る必要があるので、経営者の方と本気で議論して進めています。

社外の人としてではなく、いちメンバーとして参画させていただけるときは本当に嬉しいですね。

ありぱん
ありぱん

次に、②の「活躍伴走型転職エージェント」について聞かせてください。

単なるエージェントではなく「活躍伴走型 転職エージェント」「キャリアコーチング」を始めようと思われたのはなぜでしょうか?

たいぞー
たいぞー

実は…僕、新卒で入った会社で休職を経験していまして。

毎日、ストレスでアルフォートを3箱食べて、ブクブク太っていきました…
ありぱん
ありぱん

そうなんですか!

たいぞー
たいぞー

そのときは、自分のしている仕事以外の仕事のことが分からず、それでも誰にも相談できず、気兼ねなく相談できる人もおらず、自分を追い込んでしまったんです。

その経験から、「自分を知り」「企業を知る」ことの大切さを痛感しました。「当時、相談できる人がいたら良かったな」という気持ちで、この事業を始めました。

ありぱん
ありぱん

そこで、「コーチング」という手法なんですね。

たいぞー
たいぞー

せっかくキャリア支援をやるなら、価値あることをしたいし、大企業がやっていることをなぞりたくはなかったんです。

それに、僕は自己分析ツール「ストレングスファインダー」の上位資質の1、2位が「包含(仲間はずれを作らず一人ひとりに居場所を与えられる資質)」と「成長促進」で。

それを踏まえると、コーチングという「おせっかい」の方法は、自分にぴったりだと思いました。

ありぱん
ありぱん

それを東京・富山での「2拠点エージェント」として実施されているんですね。

たいぞー
たいぞー

はい。対面はもちろん、Zoomを活用して、さまざまな方の相談に乗っています。

特に、富山の人に対して、東京の会社で働くことのメリットやデメリットをリアルに伝えられるのは良いことだと思っています。

ありぱん
ありぱん

そして④の地方創生事業が、この「富山人材新聞」ですね。

たいぞー
たいぞー

はい。富山人材新聞を作ったのは、富山の面白い取り組み・人・会社のことを全国の方に知っていただきたかったからです。また、「これから富山でやっていくんだぞ!」という自分自身の覚悟の表明でもあります(笑)。

これまでは著名な方を中心に取材をしてきましたが、これからはさまざまな経営層の方からお話を聞くような記事も出していきたいですね。

富山を、地方で1番優秀な人材が集まる土地

ありぱん
ありぱん

最後に、これから富山で実現したいことを教えてください!

たいぞー
たいぞー

「本当に困っていることを聞く」ことを繰り返していきたいです。コンサルの現場だけでなく、セミナーなどでも、つねに新しい情報が行き来するような場所を設けたいですね。

大きな目標ではありますが、「富山」を、地方で一番優秀な人材を集められるような土地にしていきたいです。

ありぱん
ありぱん

大きな目標ですね!

たいぞー
たいぞー

いまは、就職で富山を離れてしまうと、そこから戻ってくる人は少ないと聞くので、もっと富山の魅力を伝えていきたい。

そしてゆくゆくは「富山の人事部」といった存在になれるといいな、と思います。

「富山の人事部」のような存在になりたい!
たいぞー
たいぞー

そのために、もっと経営者に積極的に申し出をしてもいいのかな、と思っています。あとは、色々な会社のいろいろな人と関わることでしょうか。

そのことが、ひいては関係人口の増加に寄与するし、人事同士で仲良くなっていくコツなのではないかと思います。

ありぱん
ありぱん

最後に、仕事を探している転職者の方にメッセージをお願いいたします!

たいぞー
たいぞー

東京にいる人も、富山にいる人も、「いつか富山に戻りたい」と思っている人にも。「あなたが活躍できるフィールドは富山に絶対ある!」と断言できるほど、富山は大きな魅力的な場所だと思います。

まずは、やりたいことを相談してみるのでもいいし、ボランティアとして何かのサービスに関わってみるのでもいいし、うちの「富山人材新聞」に来てくれるのでもいいし(笑)。

どうか自分の可能性に蓋をせず、小さな一歩を踏み出してみてほしいです。いま、富山がアツい! 移民にもやさしい! そんな事実を知ってもらえたらいいな。

ありぱん
ありぱん

たいぞーさんの優しさと富山愛が伝わりますね…

たいぞー
たいぞー

富山の人に対しては、「自分の良い点にフォーカスしてほしい」と思います。「富山で自分は何もできない」わけはないし、自分の可能性に蓋をしないでほしいです。また、東京の人に対しては「あなたが活躍できるフィールドは富山に絶対ある」し、「なかったら起業すればいい」と思っています。

そして最後に、「いつか富山に戻りたい」と思っている方は、「いつか」を「いま」にするのも良いんじゃないかと思います。ボランティアとしてサービスに関わったり、「富山人材新聞」に来てみるのでもいい。

いま、富山がアツい!移民にも優しい!という風が吹いていることを、もっと多くの人に知ってほしいですね。

ありぱん
ありぱん

ありがとうございました!

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当メディアを運営する株式会社インテラスでは、「富山の人事部」を目指して、富山で働きたい方の転職をお手伝いしています。また、富山をはじめとした企業様を、「人の働くをより良くする」という観点でお手伝いしています。

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取材・文章=高尾 有沙(@arisa_takao)
編集=いしかわ ゆき(@milkprincess17
撮影=ゆーと(@yuto_higohashi
デザイン=井上初音

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