これから富山で活躍するであろうU30の方々をご紹介する新連載「とやまのみらいモンスター」。
第1回目にお呼びしたのは、筑波大学受験専門のオンライン家庭教師「ツクガク」を運営する、株式会社キャンパスライフドットコムの吉田峻さんと、副業社会人によるオンライン家庭教師「KnockLearn」を運営する、株式会社ノックラーンの福本英さんです。
富山出身の吉田さんと、現在富山にお住まいの福本さん。「富山」と「教育」という共通点のあるおふたりに、「富山の教育のミライ」についてお話を伺いました!
〈聞き手=石原たいぞー(富山人材新聞編集長)〉
吉田 峻(右) 1995年富山県富山市生まれ。富山県立富山中部高等学校を卒業後、国立大学法人筑波大学に進学。卒業後は株式会社ビズリーチ(現 Visionalグループ)に入社。2020年に株式会社キャンパスライフドットコムを創業し、筑波大学の在校生向けに不動産情報や求人情報などを発信するメディア事業を始める。2021年より筑波大学を志願する受験生向けに伴走型オンライン学習サービス「ツクガク」を開始。 |
福本 英(左) 1997年兵庫県姫路市生まれ。九州大学経済学部経済工学科に進学。2021年4月に株式会社ビズリーチ(現 Visionalグループ)に入社し、ベンチャー企業や外資系企業などの中途採用コンサルティングに従事。2022年3月に株式会社ノックラーンを創業し、小中高生向け教育サービス「KnockLearn」と急成長ベンチャー企業向けの中途採用支援サービス「Recboo」を始める。2022年8月より富山県に移住。 |
「とやまのみらモン」が挑戦していることを直撃!
「富山」と「教育」という共通点のあるおふたり。まずは簡単に経歴をお聞きしてもよろしいですか?
私は富山県富山市の出身で、現在は、筑波大学を志願する受験生向けの伴走型オンライン学習サービス「ツクガク」を運営しています。
筑波大学に進学したことをきっかけに、筑波大学の学生向けのアパート情報やアルバイトの求人情報の発信を始め、今ではつくば市の生活情報を発信するWebメディアの運営なども行っています。
私は、副業社会人によるオンライン家庭教師「KnockLearn」と、ベンチャー企業向けの中途採用支援サービス「Recboo」の2つの事業を行っています。
起業した当時は東京に住んでいたのですが、どちらの事業もフルリモートで行っているので、2022年8月に富山に移住しました。
おふたりとも自社で「オンライン家庭教師」を行っているんですね。
そうですね。ただ、コンセプトは異なります。
「ツクガク」は、筑波大学の受験に特化した個別指導型の家庭教師です。先生は現役の筑波大学生で、受講生は筑波大学の受験を控えた高校生が多いです。
「KnockLearn」は、副業社会人によるオンライン家庭教師で、受講生は小学生から高校生までさまざまです。
受験対策というより「探究学習型」の授業なので、その部分が違いますね。
「探究学習型」?
自ら問いを立てて、その問いを解決するために情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換をしたりしながら進めていく学習活動のことです。
弊社の授業は1コマ90分制なのですが、45分は5教科の勉強、残りの45分は独自の探検学習プログラムを行っています。
プログラム内では、生徒さんの「ありたい姿」を考え、理想と現状のギャップを講師と一緒に話して、アクションプランを考える…というようなことをやっています。
まるでキャリアコーチング!「探究学習」は一般的なものなんですか?
高校教育の現場では、2022年度に導入されたばかりですね!
ちなみに富山県の高校では、2023年度から普通科クラスが減って、探究科クラスが増えるそうです。今後は、探究学習に力を入れる学校が増えてくると思います。
東大よりも富大のほうが難関校⁉︎ 富山で感じた受験情報の格差
吉田さんに質問なのですが、富山付近の大学というと「富山大学」や「金沢大学」が有名だと思います。どうして「筑波大学」に進学されたんですか?
後期入試の出願先を決める際は金沢大学への進学を検討していたのですが、希望していた農学部がなくて…。
そのときに担任の先生から教えてもらったのが「筑波大学」だったんです。
当時は、富山大学と金沢大学、旧帝大以外の情報が少なかったので、選択肢を広げてもらえてよかったですね。
あまり情報がなかったんですか?
本来、進学先は「学びたい学部」や「将来のビジョン」に合わせて決めると思うのですが、私の地元では、「有名度」が選択基準になっていました。
なので、先生や親御さんたちも、地元で有名な大学以外のことを知らない方が多いんです。
実際に私の両親は、東京大学よりも富山大学のほうが難関校だと思っていたそうです(笑)。
もちろん、私が高校生のときよりも、今のほうが情報格差は少ないです。
とはいえ、進路のことは身近な人に相談するはずなので「学校や家庭における情報の偏り」はひとつの課題だと思います。
なるほど。他に課題を感じることはありましたか?
「学習塾の偏り」ですね。
多くの学生は学習塾で受験対策を行いますが、志望校によっては、学習塾の選択肢が限られてきます。
富山県で受験者数の多い大学であれば手厚くサポートをしてもらえるのですが、それ以外だと対策をするのが難しいんです。偏差値の近い学校の過去問題を使って受験対策をすることもあるぐらいなので…。
なるほど。そうなると「ツクガク」のように、地方にいながらでも、志望校の学生から学べる環境は便利ですね。
まさに! 私みたいに「富山の高校に通いながら筑波大学を受験する」という方にはピッタリだと思います。
家庭教師を担当するのも、地方からの受験を経た現役生なので、「まわりに相談できる人がいない」という不安も解消することができます。「自分が受験生のころにあったらよかったな〜」と思いながら作りました(笑)。
今後は他の大学の対策も行えるよう、サービスを拡大していく予定です。
起業家は富山に住むべき!移住して気づいた地方暮らしのメリット
福本さんは兵庫県出身で、会社は東京ですよね。どうして富山に住み始めたんですか?
じつは、私のパートナーが富山出身で、今も富山に住んでいるんです。仕事では自分の好きなことをさせてもらっているぶん、パートナーの近くに身を寄せたいと思って半年前に移住しました。
あとは、私自身が兵庫の田舎で育ったこともあり、自然が多い場所が好きだったことも移住理由のひとつですね。
オフィスは東京になりますが、業務自体はフルリモートで行っていて、メンバーも全国各地にいます。なので、私が富山に移住しても、仕事には何も支障をきたさないと考えていました。
富山に住んでみて、どうですか?
事業に集中できる時間が増えましたね。
東京には、投資家さんやビジネス関係者にすぐに会えるというメリットがありますが、事業とはあまり関係のない交流も多かったんです。
富山に住み始めてから、突発的な出会いは減りましたが、そのぶん目的に合わせて自分からコンタクトを取るようになりました。効率よく、濃い関係がつくれるようになったと思います。
たしかに。「東京にいる」というだけで、たくさんお誘いいただきますよね…。
そうですね。「暮らしはミニマムにして事業に集中したい」という方には富山はピッタリだと思います。
しかし、地方に住みながら会社を経営する「難しさ」があるのでは…?
うーん、感じたことはあまりないですが…。強いていうなら「事業をするメンバーが近くにいない」という点でしょうか。
社員も全員フルリモートですし、起業家仲間と出会う機会が少ないので寂しいときもあります(笑)。
ただ、富山市にはコワーキングスペースが多いですし、富山県が運営する創業支援センターもあります。
とくに、2022年10月にオープンした「SCOP TOYAMA」は、同世代の起業家さんとの出会いがありそうなので、いつか行ってみたいです!
次世代の「教育」のスタンダードをつくる!おふたりの展望
本日お話を伺ったことで、ますますおふたりの今後が気になります…!今後の展望や富山との関わり方についてお教えいただけますか?
「ツクガク」では、まずは生徒数600人を目指して展開していきます。筑波大学の志願者は年間6,000名ほどいるので、富山県をはじめ関東圏以外の地方にもサービスを広めていきたいですね。
2023年4月からは「集団授業」も始める予定なので、受験生同士が切磋琢磨できる環境をつくっていく予定です。
1対1の授業だけでなく、集団授業も!
集団授業は、1対1の授業とは違う緊張感が生まれますし、毎週固定のクラスに参加することで勉強習慣もつきやすくなります。
あとは将来的に、筑波大学だけでなく他の学校の受験対策も行えるように、サービスを拡大していきたいですね。
福本さんはいかがでしょう?
「KnockLearn」は、「教育のスタンダードを作りたい」という想いで立ち上げたサービスなので、まずは市場に受け入れられるために自社コンテンツを磨いていきます。
探究学習は、高校でも授業の一環として導入されてはいるのですが、実際の現場では、探究学習を担う先生としては採用されていない方が授業を担当していることが多くあります。
政府の方針と教育現場のズレが解消されるためには時間が必要だと思うので、弊社のサービスでフォローしていきたいですね。
今の時代は、時間をかけずに苦手分野を克服するための「AIを活用した学習システム」などもありますし、学習者にあわせて学習内容が最適化されるようになってきました。
最適化されて生まれた「余白時間」に、自分たちの探究学習のサービスを提供できたら嬉しいですね。教育分野なので年単位で時間はかかりますが、地道に取り組んでいきます。
個人的には、いつか「KnockLearn」さんと協業したい…と企んでおります(笑)。
本当ですか⁉︎
「KnockLearn」の講師は、難関大学を卒業された社会人の方々なので「ツクガク」とは講師陣の性質が異なります。
授業の内容によって先生をシェアできたら、さらに質の高い授業が提供できると思うので…またご相談させてください!
もちろんです。楽しみにしています!
「ツクガク」「KnockLearn」についてはこちらをチェック!
筑波大学受験専門のオンライン家庭教師「ツクガク」および、副業社会人によるオンライン家庭教師「KnockLearn」に関する情報は以下をご覧ください!
▼ツクガク
▼KnockLearn
取材=石原 たいぞー(富山人材新聞編集長)(@taizojp)
文章=まあや(@maaya_minimal)
編集=いしかわ ゆき(@milkprincess17)
写真=鈴木 秀翔(@shuto_films)
アイキャッチデザイン=井上初音